結晶力

天空の城ラピュタで、ポムじいさんが鉱石を割って見せるシーンがある。
ほんのわずかな瞬間だけ美しく輝くが、その輝きはすぐ消えてしまう。
かつての高度な技術を持つものだけがそれを結晶=飛行石に変えることができた、というシーンだ。


ここ最近になり、ふとそのシーンが脳裏に蘇ってきた。


一見散らばっている素材、要素のようなものを一つに集めてぎゅっと凝縮し結晶に変える高度なチカラ。


それを「結晶力」と呼びたい。


結晶力は、ただ凝縮するチカラというだけでなく、纏め上げた後にいかに美しく輝くかの精度や、個人のもつスパイスといった要素も含んでいる。
それらのパラメータの総合値が高いほど、できあがる結晶の質は高くなるのだ。



ミュージシャンにとっては数年に1回のアルバムが結晶ということになる。


板前にとっては、一握りの寿司こそが結晶ということになる。


そして、絵描きにとっては1枚の絵が結晶ということになる。



今日、ついに北京五輪が閉幕した。


アスリートにとっては、メダルが結晶ということになるのだろう。
その色はその努力の過程を凝縮するチカラの精度の高さや個性といったスパイスから決まってきたのだと思う。


メダルを手にした選手が日本に戻り、テレビでメダルを披露していた。
あのメダルは永遠にあの形、あの輝きのまま、彼らの手元に残っていく。
素晴らしい結晶だと思う。あれこそ世界最高峰の純度を誇る結晶ではないだろうか?


この2週間、なんだかんだで食い入るように彼らのがんばりに目を奪われてしまった。


今度は自分の結晶力をふりしぼる番である。□