警鐘

東京事変の2012ライブツアーDiscoveryでグランキューブ大阪へ。


椎名林檎の仕事全般に対しては、相当なる敬愛と憧憬が入り混じった、むしろ偏りすぎた高評価をしている自分なのだが、その自分ですら、このたびのライブツアーは全く楽しめなかった。


そもそも最新アルバムの「大発見」の完成度から、かなり低いものだったと感じている。
10回も聞いていないのではないか。楽曲に魅力がない。とても聞いていられない。バンドとしての絆も果たして初期のままか、が疑わしい。


自分の中では2枚目の「Adult」が東京事変の最高潮と位置づけているが、3枚目の「娯楽」は全ての楽曲が他のメンバーにゆだねられた第一回目ということもあり、かなりの緊張感が滲み出していたように思う。


だが、その次の「スポーツ」、「大発見」と作を重ねるごとに魅力がどんどん落ちているように感じる。
以前聞いたような楽曲や、つかみどころのない楽曲が並び、ヘビーローテーションに全く乗ってこない。
「全部作り直して来い」とか言う拘りを置いて、出てきたものの中から妥協して選択して並べたような楽曲である。


そのままライブにいったものだから、楽しいわけがない。


おまけにこのたびのライブはMCもほとんどなく間髪入れず演奏が続き、最後まで突っ走って終わり。という感じなのであった。ファンとの交流として重要なMCをカットするとは、一体どういう御了見か。理解に苦しむ。


但、サポートメンバーの緊張感は高かったようで、コスチュームや舞台セット、映像の質などに支えられ空間としては2時間を保たせてはいたと思う。でも、やはり聞くのはしんどかった。


このままでは「終わり」だと思います。厳しいけれど。


自宅に戻り、改めて「Adult」を聞きなおしてみたのだが、その堅牢なアルバム作りが輝いていて、全然色あせていない。どの楽曲も異なるアクセントがあり、飽きることがない。これでしょう。東京事変がやらなくてはいけないことは。


5枚目は、今一度林檎嬢全楽曲作詞・作曲で再スタートしてみてはどうか。と思う。


これ相当切実です。ファンとして。ファンだからこそ。□