京都国立近代美術館の常設展示が
「撮影OK」になっていた。
東京国立西洋美術館も少し前に
「撮影OK」になっていたことを思い出す。
一般の人に美術への関心をもってもらう上では
この上ない歩み寄りなのかと思う。
よろこばしいことだと思っていたのだが........。
はたして、
美術館の「撮影OK」は本当に喜ばしいことなのだろうか?
今日僕は「撮影OK」と知ったとたん、ほっと安心して
真剣に見るのをやめてしまった自分に気づいた。
「撮影できるのか~。なら撮影して家でも見られるね♪」
そう思って撮影後すぐ、ろくに絵を見ずに、
立ち去ろうとしている自分を発見してしまったのだった。
駄目だ。
この場限り。今この瞬間にしっかりこの目で
見ておかないと二度と会うことはできない。
絵は、そういう限られた時間、緊張感の中で。
絵に穴が開くほどの集中力で。
見つめてあげなくてはならないものだと思うのです。
写真撮影できるという代替手段で絵に対峙する姿勢を
緩めてはならない。
だって、それは本末転倒ではないか!
「ライブに行ってもDVDになるから眠っていてもいい。」
という発想と同じなのです。
その場で体感するのがライブでしょう?
みなさん、自分の目でみましょう。
撮影してもいいけれど、自分の目で見て記憶しましょうね。
それが世界のアートとの最低限かつ必須の付き合い方かと
僕は思うのです。□