真っ暗な住宅街にぽつりと現れた居酒屋。
........またか。
ついこの前まではラーメン屋だった。
その前はカフェだったか。
大通りからやや入り込んだ住宅街の一角。
周りには店舗はほとんどない。人通りもない。
多くの人が気付かずに前を通り過ぎてしまう程の立地だ。
この店舗に入る店は次々と閉店していってしまう。
前を通るたびに店が入れ替わっているような気がする。
気がするのではなくて、事実である。
そんな場所にまたも開店した居酒屋。いつまで続くことやら....。
......と思っていたのだが。
この店についてはいつもと違うようだった。
すぐにも閉店するものかと思っていたのだが、
それどころか日に日に店内に客が増えていくのだった。
調べてみると店長は40年にわたり板前を続けていた方らしく、
満を持しての独立開店ということであるようだった。
そんなお店についに足を運んだのだった。
..........うまいじゃん。
本物の仕事であった。
お店には次々とお客さんが入りほぼカウンター席は満席の
状態が続いていた。
どこにいようとも、仕事が本物であれば、世界は放っておかない。
どこにいようとも、仕事が偽物であれば、世界に見捨てられてしまうのである。
本物の仕事をしたい。そんなことを考えながら最高のお酒をいただいた。□