語彙!

 

「あああああぁぁぁ(語彙!!)」


言葉にできないもどかしい気持ちを、
ネットではこんなふうに叫ぶようです。

言葉が出てこないと感じることは、ぼくにも多々あります。
映画を観た感動を伝えるのに「面白かった。すごかった」ではなんだか味気ない。
自分ならではの感じ方をうまく言葉にして発信したいのです。
でもそれを的確に表す言葉が出てこない。さくさくと言葉が出てくるのであれば、きっと文章はあっという間にかけるのでしょう。文章を書くのに要する時間の多くは、きっと言葉探しにかけている時間だと思うのです。

昨今「美しい日本語選び辞典」なる本が人気のようです。
「こんなときどういう言葉を使ったらいいのか」を逆引きで調べられる辞典です。
面白そうな本です。まだ手にとってはいませんが、近いうちに目を通してみたいと思っています。

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でも、そもそも「言葉にする必要があるのか」という考え方もあります。

映画「海獣の子供」の中で「暗黒物質」というものにふれるシーンがあります。
ぼくらが見たり、触ったりしている「物質」は、この全宇宙の全ての物質のうちの、ほんのわずかでしかなくて、実はほとんど我々の目には見えない、感じることも出来ない「暗黒物質」で覆われているというのです。

ことばで表現できることなんて、この全宇宙から見たらきっとほんのひとにぎり、否、ひとつまみですらないのかもしれない。

言葉にできないならば、絵画を描く。音楽を奏でる。ダンスを踊る。という他の手段で表現したらいい。

海獣の子供」は作品そのものも、言葉で表現できない哲学的な問いかけを表現するために、映像を使っていました。

言葉でもいい。でもどうしても言葉にできないのならば、語彙に固執せず、自分にとってもっとも表現しやすい手段で表現するのが一番近道なのかもしれない。とも考えるのです。

海獣の子供」は、わかる/わからない映画というより、浴びる/感じる映画でした。□