純米吟醸ひたち錦 大観
(茨城・日立市/森島酒造株式会社/10点)
日本画の巨匠・横山大観が命名したといわれる日本酒ということで、どちらかと勢いで手に取ってみたのだが。
雷に打たれたような衝撃。なんだこれ!?うますぎる.....!!
2018年一発目の特大ホームランキターーーーーーー。という感じです。
大観先生はやはりこれほどのお酒をたしなみながら作品を描いてきたのだなと、しみじみと味わいました。
やっぱり良い絵を描く条件に、良い日本酒をたしなむ。というのが重要なのだろうね(こじつけ)。□
「ご縁ですね」
優れた作家さんが謙虚にシンプルに今の成功をこう言うのをよく耳にする。
まるで魔法か偶然か、説明のできないチカラがはたらいて今があると。
でもやっぱり最後は「仕事」なんだと思います。
いい「仕事」があって初めて良いご縁を引き寄せるような気がするのです。
まるで蝶が集まる美しい花のように。「仕事」を輝かせたいものです。□
ムードメーカーといわれる人がいます。
眉間にしわを寄せて仕事をしていると、
ふと近寄ってきて、
まるでクリームブリュレの表面をスプーンで軽く
こつんと壊すかのように、
硬くはりつめた空気の膜を心地よく壊してくれる。
あの心地よさはなんだろう。
日本人は相手への敬意に頭をさげるけれど、その下げ方の度合いにも、実は絶妙な位置があるような気がします。高すぎると高慢だし、下げすぎると謙虚すぎる。でもその間の絶妙な下げ方をする人がいて、そんな人には、こちらこそ。とつい頭を下げてしまいたくなったりします。
素晴らしきムードメーカーは「弱音」を最高の武器にしているのではないか。
弱音にも絶妙な位置があって、あきれるほどでもなく、同情するでもなく、
ほっこりするくらいの弱虫。そんな人がムードメーカーであるように思います。
そういう弱虫で僕もありたいと思います。□
「強くないと視界に入り続けられない」
ただそれだけの事....。
ここは嫉妬とかして腐る所ではなく
強くなるために弱いとこを探して
1つずつ修正していくだけの
頭がヘンになりそうな作業を
正気でコツコツ繰り返すだけの
単純な話なんだ。(「三月のライオン」Chapter136)
漫画「BEASTARS」①~⑦巻(以下続刊)板垣巴留著 秋田書店
2018年の漫画大賞受賞で話題となった作品である。
実はこの作品を手に取る前は「大賞ってホントか?動物を擬人化しただけでは?」みたいな偏見をもっていたかもしれない。
絵柄にもなかなかの癖があって、冒頭を読んでいた時には偏見の厚い幕が僕を覆っていたように思う。
だが。まるで野球拳に連敗していく情けない中年サラリーマンのように、その偏見の幕は一枚、また一枚と、心地よくはがされていくのだった。
動物で物語を描くのは、ただの思いつきなどでは決してない。
それどころか、いろいろな人種のいるこの現実世界を、全てみたてているようにすら感じる。動物の性質、性格、そして世界設定。全てがとても深く練り込まれている。すっかりとりこになってしまう。
人種問題を描いた映画とされる「シェイプオブウォーター」がアカデミー賞ならば、まさに「BEASTARS」が漫画大賞であることにガッテン!したのであった。
きっとすぐにもアニメ化、実写化など実現してしまうのではないだろうか。(アニメ化したら主題歌はきっとECHOES「ZOO」ではなかろくかwww)
日本の漫画もいっそう世界に誇れる文化になりつつあることを誇りに強く感じた作品です。
それにしても、これ本当に少年漫画か!?暴力、性描写などすっかりR指定かと。それをカムフラージュさせるために擬人化を使った、とか...?□
このたびの個展で、
絵を1枚、ご購入いただきました。
万年筆を使った小さな作品です。
僕のチカラではありません。
画廊のオーナーがファンと僕をつないでくれました。
高く売れたとか安く売れたとか。そういうことには興味はありません。
寝室の枕元に飾ります。と言ってくれたみたいです。もうそれだけでしあわせです。
僕の作品が、どこかのだれかの貴重な睡眠の時間・空間を少しだけ支える役割を持てたのかもしれません。
僕の作品は、スイッチ一つで映像を流して人々を笑わせたり、空気を涼しくしたり暖かくしたりするようなことはできません。
優れた機能と機能の谷間にある、この世になくても誰も気にも留めない、においや空気を作る小さな装置であればいいと思っています。
そんなあってもなくてもいいような小さな役割を僕の絵の中に感じて、求めてくれた人との貴重な出会いを心から嬉しく思います。
発表させていただけること、つながれたことに心から感謝申し上げます。□