ある日のできごと。

スケッチしていると、いろいろな人が覗きに来る。


犬がふんふんとスケッチブックのにおいをかいでいる。


もともと散歩している主人も覗きたかったのかもしれない。
それをきっかけに僕のスケッチを覗き込んでくる。


「いいですねぇ。楽しそうですねぇ。私も描けたらいいな。」


たいていそんな感じのコメントが帰ってきて、それきりなのだが。


ときどき、さらに一歩、入り込んでくる人もいる。


「うわ、すごい。その家(描いている対象)に住んでいる人、呼んでくるわ」


といって、走っていくおばさん。そしてあらわれる主人。


「(私の住んでいる家を)綺麗に書いてくれてありがとー。よかったらこれくれないー?」


最近、こういう人にはスパスパと描いたものをあげるようにしている。


自分の住んでいるところとか、思い入れのあるところを別の手段で表現されたものをほしがる人は意外と多いのである。
スケッチなど所詮、制作の息抜きであるし、うまくいった!自分の手元に置いておきたい!などというものは、ほとんどないから、欲しがる人にこそ、持ってもらった方がいい。
それ以上、何かを期待することはない。ただ偶然にもこのスケッチが誰かの役に立つのかもしれない、という満足感だけだ。


こんなかんじで毎日描いている。□