第三弾出品完了...

ついにこの秋最後となる作品の搬出が完了した。


自室でかなりの縄張りを占拠していたキャンバス群は、ごっそりと外へ出て行った。
ほっとした。と言いたいところだが、意外にも気持ちはすっきり晴れ渡るどころか、かえって重く沈んでいる....。


最後の作品は、この連休を利用して大阪のアトリエへ直接運び込んだ。
東京から大阪へ新幹線で40号の絵を運ぶ旅である。
とても回りくどいことをしているような気もしたが、自分の作品と500kmの距離を共に旅するのはそれはそれで感慨深いものがあった。



もろもろの課題が残されていることは自覚していたが、この絵に対し実際に師の口から出たコメントは予想を大きく外れていた....。


「本当にこれ出すのか?落ちるぞ」


奈落の底に突き落とされるような強烈な一言だった。ふざけているのかと思った。あるいは執拗な意地悪をされているのかと思った。
自惚れているつもりはない。が、少なくとも受賞までは出来ないとしても、落ちることなど全く考えていなかった。


「世界観の調和がない。細部に対するこだわりが強すぎる箇所もあれば、大雑把に抽象化している箇所もある。全体のバルールが崩壊している。我々ならば、君のこの現状が発展途上の過程であると理解できるが、一般の人にはおそらくそれが伝わりえまい。テーブルマナーを知らない子供の落書きとしか伝わらないだろう...」


要所要所での確認を怠り、自分一人で進めるうちに迷いの森をぐるぐると回っていたのかもしれない。
一人で描くということの難しさ、客観的な目を持つことの難しさ。を思い知った。
驚かしてやるというくらいの勢いをもって特攻したつもりが思い切りカウンターを喰らってしまった。


反省はする。但、今回の件で自分の中に持っている仮説を覆すつもりは毛頭ない。
指摘された内容と自らのエゴとが調和する特異点は必ず存在すると信じる。
死ぬまでそれを探し続ける。□