崩壊

大好きな二天門が立ち入り禁止の柵で囲まれている。


どこかの阿呆がまた余計なことをしようとしている。


数十年に及ぶ風雪にさらされた柱や提灯が作る風格。
色はところどころくすんで、柱にも細かい傷が入っている。しかしそれがいい。
その風格を含めての重要文化財であるのに。
わざわざ無駄金を使って、不細工な絵の具でそれらの価値をべっとり上塗りする。
これから数百年経とうとも何ら時代を刻み込まない鉄の柱に置き換えたりする。


桜が散るのを嘆き、接着剤で花びらを固定するかのような品格のなさ。
散ることが美しいということがぜんぜんわかっていない。


たぶんひどいことになる。絶対ひどいことになる。□