「たそがれ清兵衛」「武士の一分」に並ぶ山田洋二監督の時代劇シリーズ。
このシリーズはどれも女性がかわいく美しい。
今回は松たか子演じる、主人公との身分違いの娘:きえ。
松たか子はこれまでの活躍ぶりから今や「男勝りな属性」を感じてしまい、どちらかというと、本作に求められる女性像とは合わない。
が、やはりそこは見事にその属性を捨て、初期のころの松たか子になれていてとてもよかったと思う。
ラストの「それは命令ですか?なら仕方がありません」の名セリフは本当にかわいいなあと思ってしまう。
逆に主人公の片桐宗蔵の個性というものは描き切れていないように感じた。
何故師匠は片桐宗蔵に隠し剣鬼の爪の秘伝を授けたのか。
そのゆえんたる片桐宗蔵の性格、長所がつかみかねた。
「たそがれ清兵衛」や「武士の一分」にある主人公と比べ、片桐宗蔵についてはその立ち振る舞いから、においたつ人格のようなものが感じられなかった。普通のお侍さん。というか...。
もうちょっと右に左に突き出る性格があってもよかったのではないかと思う。
ストーリーそのものは十分楽しめる内容であることは間違いない。
今は亡き緒方拳の悪役ぶりがまたいい。□