(注) ネタばれ含む!!!
このたびのアカデミー賞外国映画賞授賞で大変な騒ぎになった。
いづれ見るつもりだったが丁度レンタルもスタートしたので前倒しで見ることにした。
別に賞を取ったから、というわけでは当然ないが。
ここ最近見た中では屈指の名作だろうと感じた。
一言でいうと「空気感がいい」。それにつきる。
山形の静かな美しい町。死と向き合う静寂感。納棺師の美しい手際。どこかユーモラスであたたかい人々。すばらしい音楽。
死という深く厳かなテーマをモチーフにしながらも、オープニング早々「ついてるんですけど...」。と、いきなり絶妙に緊張感を取り除いてしまうその余裕というか、のりしろが見事だ。
死というネガティブな主題に対し、納棺ビデオの撮影シーンや銭湯シーンといったポジティブを、その世界観を壊さないレベルで挿入し、作品に効かせている。まさに名画の手法である。
死というテーマの描き方についても他人、知人、そして身内というステップで敷居を上げていく。
NKエージェント社の建物や、バックに見える美しい山、川など美しい景色。
そしてチェロ奏者としての主人公の演奏も美しく相乗効果を出している。
キャストも属性がうまくおさえらえていて、適材適所の配置がされているように思う。
久しぶりに静かに泣いた。喝采。
近々「納棺夫日記」も読んでみたい。□