二極化?

 

絶対見たほうがいい。と勧められた「葬式の名人」を観てきました。

 

が。
残念ながら、まったくと言っていいほど共感できませんでした。
というか、これまで観てきた多くの映画の中にもほとんどないほど、共鳴しない映画でした。つまり「くそ映画」でした。

とても大切なクラスメートの死はあっさりと描かれているのに、伝えたいことがわからないシーンがやたらと長い。

茨木市やら茨木高校の内輪ネタで延々と盛り上がるクラスメートたち。誰もが興味を持てるようなエピソードならばともかく、僕には全く興味がもてませんでした。まったく見ず知らずの人たちの同窓会に参加して、話を聞かされているような気持ちです。はやくこのシーンを打ち切って、次のシーンに移ってくれと願ってしまうほどに。そして次のシーンになると、また同じ願いが沸いてきます。

突然、坊主が棺桶から出てきて笑いをとるようなシーンが現れたり、真っ白な装束を着た女性が現れて腕をもいで渡して来たりと、パラダイムがころころと変わり、置いてけぼりにされたような気持にもなります。

シーン、脚本、演出、編集、役者...どれをとっても、僕にとっては共鳴できず、全体として「お金をかけて作ったアマチュア映画」のような印象でした。
せめて市や学校で無料上映するというのであれば、納得がいったのかもしれない。
だけど1800円ですから。

事前に期待をあおられて、「おくりびと」に匹敵するような作品を期待してしまっていたせいもあるでしょう。だからこそ、その落差はさらに大きかったのです....。

 

最近、映画の引きが悪い。
良かれと期待したものがことごとくはずれるのです。
レストランにせよ、映画にせよ、多くのものを見て感じて経験を増やすほどに、ヒット率はどんどん上がるものかと思っていましたが、それどころか、どんどん下がっている。あたりが引き当てられない。

歳とともに、昔は楽しいと受け取っていたものを、楽しめなくなるというように、自分の感覚がずれてきているのか。

ちょっと怖くなって、ネットのレビューを見てみると、賛否両論なのです。文字通り、賛成する人と否定する人がすっぽり二つに分かれていたりします。

 

もしかしたら時代なのかもしれない。

 

政治の二極化なんてことが言われるようになったけど、エンタメの世界でも二極化が進み始めているのかもしれない。

多くの人が賛同するものを作るというのではなく、半数が賛同するもの。になっているのかもしれない。

この度の件は、時代の一言では片づけたくはないけれど....。

この喪失感というか失望感を埋めるために、すぐに次の映画を観ました。
「学校」と「ある船頭の話」。
........!!これだよ、映画というものは!ここでやっと僕は成仏ができたのでした。□