自分のなかでオールタイムベストとしている映画が10本ほどあるのだけど、その中にロバート・デ・ニーロの作品が3本入っている。
「ゴッド・ファーザーPart2」
「レナードの朝」
10本しかないオールタイムベストにデ・ニーロ作品で3本が占められているのです。
彼がいかにすごい役者であり、いかにすごい映画であるかということなんだけど、ここ10年くらい、もうほとんどこのオールタイムベストは動いてないんですよね。
映画はほどほどに見ていて、名作にも出会っているけど、オールタイムベストを覆すほどではない。
でも、ここにきて、オールタイムに差し込んでくる作品に出会ったのです。
(食人族じゃないぞ笑)
これがまたもロバート・デ・ニーロ作品で、オールタイムベストに4作目ということになったのです。
「ディアハンター」
高倉健さんが生前にNHKの特番に出ていたときか「ディアハンター」のことを絶賛していたのが記憶にあります。
鹿を撃つ人の話か。と、聞き流していて、すぐに観たいという衝動もなく、それでも観たいものリストには入っていて.......ということで、なんとなく今日にいたるまで観れずに来たのだけど、コロナのこともあって映画をまとめてみる時間が取れたのでついに紐解くことになったのだけど。
本当に素晴らしい。
小さな町で鉄鋼業の仕事をしている仲間たちとささやかな日々を送っていて、休日には趣味で鹿のハンティングをしているマイケル(ロバート・デ・ニーロ)。
マイケルを含む3名の仲間たちがベトナム戦争に召集されて、出兵する前に仲間のひとりが結婚パーティを執り行う。小さな町ながら、一人の仲間の結婚を祝い、それに多くの仲間たちが集い、とても華やかでかわいらしいパーティが開かれる。
だけど、その次には、想像をはるかに超えた死が目の前にあるベトナム戦争の戦場に、彼らはいた。
3人の男たちとその仲間たちが、戦争によってささやかな幸せを壊されてしまう姿を描きながらも、主人公マイケルが抱き続けた、深い友情、愛、そしてノスタルジー。
そのゆるぎない強さとやさしさが、デ・ニーロの表情で語られている。
そして、それを彩るジョン・ウイリアムズの名曲「カバティーナ」。
一人鹿を追い山を歩くデ・ニーロの姿も美しいし、ラストの再会したメンバーたちの悲しくもささやかな宴も美しい。
もちろん、マイケルを取り巻く、仲間たち、クリストファー・ウォーケンも素晴らしい。
3時間程の長い映画だけど、無駄なシーンが全くない。すべてのシーンが愛おしい。
こんな作品に出会うのはまた10年くらいかかると思うんです。
名画に出会う震えるような喜びを久しぶりに噛みしめることができました。□