※(注)ネタばれあり。しまくり。
身内の死。という重いテーマをかなり現実に近くリアルに描きとっている。
にもかかわらず見終わった後のこの「後味の良さ」はなんだろう。
オープニングであれだけ嫌っていたおとうとを、ラストには「許してあげたら」というおばあちゃん。
映画が美しくまとまっている。
あれだけ重く痛く死を描きながら、やさしく厚いオブラートが映画全体をつつんでいる。
山田洋次監督の人柄がにじみ出ているように感じた。
そして、やっぱり特筆すべきは吉永小百合の存在感。
おとうとの引き起こすさまざまなトラブルも、全てその静かで強くて大きなやさしさで受け止める。
まさに昭和の理想的な女性の象徴のような。
全てをゆだねてしまいたくなる母なる大地のような。そんな存在。そんな安心感。
もちろん、おとうと役のつるべのゆさぶりかたも素晴らしかった。
現代の家族のあり方に対する問いかけをしながら、ユーモアもあり、あたたかさも感じる秀作。□