平行線

何故、自分は遅く自宅に戻った後でも、さらに絵筆を握れるのだろう。


確かに残された時間はとても小さい。


が、そこにあるのは「残った時間でどこまでできるか」という挑戦のみであり、痛みや苦しみは、ほとんどない。


他人から見れば、そんな奇行はお金になるわけでもなく、ただの苦行にしか見えまい。


自分でも時々、わからなくなる。「俺、いったい何やってんだろう」と考えることもある。


だが、その理由たるや、いくら考えてみても、結局のところ「ただ好きだから」としか言えない。


モチベーションのルーツは自分でもわからない。
ただ、こぽこぽとひたすら涌いてくるのだ。だから描く。


もしかしたらその角をまがったら100万円落ちているかもしれない....。そんなことを考えて、次の角、そのまた次の角、と曲がり続けている。そんなイメージなのである。


対して、会社の業務に同じ様に没頭する連中がいる。
だが、自分には彼らのあの意欲が全く理解できない。いったい何が面白いのか。


互いに「何かをつくる」という点では、全く同じはずなのに、互いの距離は平行線であり、接することはない。


彼らは俺のことを決して理解できないし、俺も彼らのことが理解できない。


いつか分かち合えると思っていた。が、もう無理かな。と思い始めてる。


せめて互いの邪魔だけはせずに、粛々と続ける。最近は、それだけを考えるようにしている。□