「広いアトリエがほしい」
いつか書いたメモが出てきた。
何を言ってやがる。描く環境があるだけでもありがたいと思え。
.....と、自分のメモに自己つっこみを入れてみたのだが、今日。
「あ〜、広いアトリエがほしい」
無意識にぼやく自分にハッとした。やはり自分は自分である。
絵を壁に立て掛けている。その上に一枚、さらに一枚....。
キャンバスが吊り天井のように壁から迫ってきている(天井じゃないけど)。
狭い部屋には、更に画材やらヒーターやらも置かれ、最後に残った小さな空間が、描くための場所である。まさに猫のひたいである。
壁の奥に立て掛けられた一枚を取り出すためには、手前にある絵をすべてどかさなくてはならない。
一枚をどかし、また一枚をどかす。そのたびに、キャンバスがなにかしらにぶつかる。
ようやく取り出したい絵に手が届くときには、肝心のこの一枚を置く場所が無い!
あ〜、もうっ!!広いアトリエがほしいっ!
そうメモを残した自分の気持ちが今、臨場感を伴ってここに再現された。きっとこの気持ちは消えることなく脳裏にこびりついたことだろう。
まずは描いた絵を置くための倉庫がほしい。描く場所と倉庫を兼ねたりしているから、描く前に「整理」がセットになってまとわりついてくるのだ。
日曜美術館に出てくるような大物作家などは体育館のようなアトリエで描いていたりするけど、そんな場所、ほとんどの作家はもっていないのである。彼らですら駆け出しの頃はきっと猫のひたいで描いていたのだろうし。
みんな広いアトリエがほしいのである。夢だけどね。□