今日の一冊

 

「火刑法廷」 ジョン・ディクスン・カー ハヤカワ文庫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(以下、自分へのメモ。すべてネタバレしているので注意)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・ふたつのオカルト的な謎がある。

・1つめは、
 編集者のエドワード・スティーブンスが担当する、作家のゴーダン・クロスが、
 過去にヒ素の毒殺犯として処刑されたマリー・ドブリーについて書いていたが、
 マリー・ドブリーが、エドワード・スティーブンスの妻マリーとうり二つだった。
 処刑されたはずのマリー・ドブリーが蘇り、自分の妻となったのか。

・2つめは、
 エドワード・スティーブンスの別荘近くのデスパード家の当主、マイルズ・デスパードが死んだが、ヒ素の毒で死んだのではないかという疑いがでる。
 死ぬ前日に、マリー・ドブリーのようなドレスを着た謎の女と部屋で会っていたことが目撃される。
 本当に殺人なのか。ドレスを着た女は、もしかしたらスティーブンスの妻だったのか。
 そしてマイルズの息子であり現当主となったマーク・デスパードと、
 マイルズの墓を掘り返したところ、絶対の密室であったにもかかわらず死体が消えていた。マイルズは蘇ったのか。

・ミステリとしては、

・妻マリーは、マリー・ドブリーの一族に似ているということを買われて養子になり、育てられた。蘇ったわけではなかった。

・犯人は、看護師のマイラ・コーベットとマーク・デスパードの共犯。

 マイラ・コーベットは、マークの愛人ジャネット・ホワイトと同一人物。

 マークを愛し、マークの嫁ルーシーをおとしいれることを考えていた。

・死体消失は、マーク・デスパードが隙を見てツボに隠し、後から外に出した。
 その死体を目撃したヘンダーソン老人が「死体が蘇った」と騒いだ。

・マイルズの部屋で壁の中に消えた女は、鏡に映ったマイラ・コーベット。 

 

・ただラストの数ページで、やっぱり、スティーブンスの妻マリーは悪魔の娘。というような描写もあり、結末をオカルトとミステリーの間でぼやかしている。

・抽象表現も多く、文章がよみづらく、なかなか読み進まなかった。□