今日の一冊

 

黒猫館の殺人」 綾辻行人著 講談社文庫

 

 

 

 

面白かった。気持ちよくだまされた。

館シリーズにハズレなし。

 

 

 

 

(※注意 以下、自分のためのメモ=全てネタバレしてます)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・記憶を失った黒猫館の管理人・鮎田冬馬が火事からなんとか逃れながらも、必死で守った、黒猫館に宿泊していたバンド学生の殺人事件の手記を辿りながら、鹿谷・江南が黒猫館と事件の真相を探す。

 

・黒猫館を建てた天羽辰也と鮎田冬馬は同一人物。(AMOTATUYAの逆読み)

 

・天羽=鮎田は、妹が死に、その娘・姪の理沙子と暮らしていた。
 が、ロリコン(ドジスン=ルイス・キャロル)であったため理沙子の成長に耐えられず、殺害。地下の壁に埋め込んだ(ポーの黒猫の見立て)。

・鮎田は、経済性が無く館を手放すことになったが、オーナーに頼み込んで、死体が見つからないように館にいられるよう管理人となるよう画策した。

・館に泊まりに来たバンドメンバー(リーダー風間がオーナーの息子)が、連れ込んできた女子レナを殺してしまったことで(実際は自然死)、そのバンドメンバーが死を隠すことを利用して管理人の立場を守らせることをオーナーのドラ息子・風間に提案した。

 

・黒猫館は北海道の阿寒と、オーストラリアのタスマニア島にある白兎館の対となった建物だった。鮎田が記載した手記はあたかも阿寒で描かれたもののようにも読めるが、実際はタスマニアの館で起こった事件を描いたものだった。

・白兎館=不思議の国のアリス。黒猫館=鏡の国のアリス の見立て。

・天羽=鮎田の言葉
 「私は鏡の世界の住人」は、天羽の全内臓逆位症と、阿寒とタスマニアに鏡のように対で作った建物に住む の意味。

 

・バンドメンバーの麻生が密室のシャワー室で首をつって死んでいたが、犯人はメンバーの一人・氷川。
レナを殺したことが自分であってはならないとして、自殺の理由をもつ麻生を首つり自殺と見せかけてシャワー室で殺害。密室を作る。
密室は、外に降り積もった雪を使い、氷のようにして鍵を抑えた。(トリックは新しくはないが、氷をどこで調達するか(=阿寒は夏)がキーポイント)