展覧会 「靉光(あいみつ)展」 (10点/10点)

東京国立近代美術館で開催中の、靉光(あいみつ)の展覧会に行ってきた。


知らない作家であったが、生誕100年ということでの開催らしく、ポスターにあった「目のある静物」に身竦められ、何かが気になて足を運んだのだが...。


圧倒された。
描くこと、生きることに、もがきまくる様がむきだしになっていて、その苦しみが赤裸々に伝わってくるような威圧的迫力。


これまで見た絵は「生み出すことの苦しさ」のようなものは極力外には出さない、人には見せないように、作家の背後に封じ込めている感じのものが大半だった。同時にそれが見る者に対して、長く続けている人間の貫禄というか余裕を見せつけてくれていたと思う。
が、それに対して靉光の絵はそういった苦しみのにおいが噴出している。その人間臭さから目を離せなくなる。


最近思うのは、初めて見たときに嫌悪感を感じるくらい嫌な物こそ、後になってたまらなく好きになり、はまってしまう。ということである。逆もしかり。
バルテュスやフジタ、松本竣介の絵などは初めて見たときはむしろ「嫌い」だったのに、今や自分にとって屈指の画家となってしまった。シンディ・シャーマンの写真なんかも相変わらず嫌いだけどつい見てしまうもんなぁ。
靉光の絵もそういった意味で、早速目を離せなくなり始めている。これはすごい出会いだったかもしれない。□


追伸:京都も東京もだが「国立近代美術館」はさすが国立というだけあって、所蔵作品がとんでもなく充実してますな。特別展を食ってしまう勢いを感じます。フジタ、土田麦僊、クレー、東山魁夷などがホイとかけられていて驚いてしまう。