様式の美

日本の伝統「戦隊もの」。

多くの男子は幼少の頃、必ずこのシリーズにはまる。
レッド、ブルー、グリーン、イエロー、ピンク。
概ねこの色を持つ5人の戦士が一致団結し悪の組織と闘う。
5人が力を合わせ怪人を倒すと、怪人は巨大化し報復を始める。
そこで5人はロボットに乗り込んで応戦し倒すのである。
世代を変えながらも毎年必ず新しいキャラクターが生み出され
30年以上にわたり続いているまさに日本の伝統たるシリーズなのである。

このシリーズが、このたび「パワーレンジャー」というタイトルで
ハリウッド映画化され、大ヒットしているようだ、
この戦隊シリーズに長い間携わってきたプロデューサーが
ハリウッドでの映画化にあたって、そして大ヒットとなった原因
について、先日、テレビのインタビューに答えていた。
もともとヒットはしないと思っていたようだ。
まず、戦いに入る前に、5人の戦士は、それぞれ決めポーズをとり、
「○○レッド!」などと順になのっていく様式があるのだが、
海外では「自己紹介などしているうちに敵にやられてしまう」と、
その様式を拒絶されたらしい。
さらに「なんでヒーローが5人もいるのか」とも指摘されたようだ。
いろいろな文化的な認識の差異がありながらも、
その様式を理解してもらい、また5人それぞれに実社会における
様々な立場の人を配置することで、当初の否定が肯定に変わり、
大ヒットへ結びついたという。

日本には「様式美」というものがある。
戦隊シリーズに限らず、歌舞伎も、相撲も、宝塚歌劇も、落語も。
多くに「定番」と言われるスタイルがあって、お客さんはそれを
こころまちにして楽しむのである。
長い時間をかけてつくられた様式は、いろいろな試行錯誤を
経て一つの美のスタイルに辿りついている。
初めは理解ができないかもしれない。
だが、絶対にわかってもらえるものである。
日本が作ってきたそれぞれの様式にはそれだけの深さがある。

僕が絵画を描くのも、自分だけの美しい様式を作り出したいから
なのかもしれない。□

 

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