アナログよ、とわに。

「アナログよ、さらば。」とは、僕は絶対に言えない。
「アナログよ、とわに。」である。

先日、広辞苑第7版がリリースされた。

第6版リリースからの10年間の日本語の動きを受け、
レジェンド、スマホ、コスプレ、ツイート等、
多くの語彙が追加されて140ページほど増頁された
とのことである。(それでも厚みは増してない!)

そんなニュースで街が湧く反面、若い人たちは、
広辞苑には興味が無いようだ。
スマホで、ぐぐる」で充分であり、紙の辞書など
さわりもしないというのである。
.....なんと寂しいことだろう。

僕はアナログが大好きです。
本はやっぱり書店で表紙を見ながら探したいし、
CDはタワレコで視聴しながら新しい発見をしたい。
そもそも、紙が好きなのです。
新しく買った本はまず匂いをかぐ。新しいインクの
匂いが沁み込んだ本の匂いがたまらなく好きである。
また、開封した直後のポストイットの匂いも好きだ。
そして年賀状では手書きの文字をみてほっこりする。
手書きの文字には「温度」がある。
漫画もペンと絵具を使って描いている作家が好きだ。

わざわざ長い時間をかけて絵を描くのも
自分がアナログな人間だからかもしれない。

かつて「たほいや」という深夜番組が人気を博した
時代があった。
分厚い広辞苑を持ち寄り、ぱっとひらいたページにある
耳慣れないことばを読み上げ、その意味をあてるという
即席クイズ番組だった。
まさにアナログならではの楽しい番組だった。

狙い定めた情報に即時にたどり着くという現代の便利さも
確かに嬉しいが、ふらふらと情報の中を自分の足で歩き、
偶然発見した、向こうからやってくる情報というものも
改めて大切にしたいと僕は思うのです。
全く期待していなかった良きものが、偶然に向こうから
やってくるこの楽しみを僕らは忘れてはいけない。

僕は「アナログよ、とわに。」です。□