佳境

3月も終わる。

個展制作がいよいよ佳境だ。

制作が佳境に入ると、本当に描くこと以外何もできなくなる。

それまでは今日はもう十分だ、と筆をおいていたのが、佳境になると、そこから更にもうひと仕事しなくてはならなくなる。目の前にある絵を今日中に完成させなくてはならなくなる。本当に逃げ場がなくなってしまう。なんとしてでも、目の前の絵を描ききらなくてはならない。

「なんでこんなことになってしまったんだ.......................。ゲームした~い!映画みた~い!!マンガ読みた~い!!!」

毎年そんな弱音を吐く。

個展終わったらゲームやりまくったれ。映画死ぬほど見よう。漫画吐くほど読もう。
そんなことをぶつぶつ言っている。

だけどその後、個展が終わり解放されて、いざ時間に余裕ができたときでも、映画などせいぜい1~2本くらいみたら充分満足してしまうし、ゲームなど1時間くらいやれば、そして漫画など単行本の半分も読んだらすっかり疲れてしまう。
僕にとって「やりまくる」「死ぬほど見る」「死ぬほど読む」ってこの程度のことだったのです。

無い時間を工夫してだってその程度のことはできるような気がする。

たぶん、やりたいのはコンテンツをたくさん消耗することではなくて「一切追われることなく開放的な気持ちで」のんびり過ごしたい、ということなのだろう。
お酒を飲むのだって、自宅でもできるけど、そんなときだけせめてちょっとこじゃれた居酒屋で飲みたい。というくらいの差なのだろう。

映画も見れないし、漫画も読めないし、ゲームもしばらく封印だけど、ひとまずもう少し頑張ってみます(終わったら祇園の鮨屋に行こう)。□