夢十夜 Season3 第七夜

こんな夢を見た。

とある団地の一室のダイニングにいる。どうやらこれが自分の新しい家らしい。
とはいえ築50年くらいになる、とても古い団地であり、灰色と茶色で構成された、まるで妖怪か何かが出そうな気味の悪い部屋だった。
丁度、父と母が遊びに来ていて、新居引っ越しおめでとう。というような感じになっている。それにしても気味が悪い部屋である。黒沢清監督映画が醸し出す不気味な空気感のようなものが部屋を満たしている。
そこに、いとこのヨシナリとサトミが遊びに来た。
彼らとはもう30年も会っていないのに昔のままだ。
玄関からではなくて、もう一つの入口から顔を出した。その入口から外を見るとベランダになっていて、いろいろな植物が植えられていて奥まで続いている。どうやらその奥も自分の家の一部らしい。

いとこたちと外に出た。
団地の目の前はすごく急な坂になっている。
彼らと共に坂を下りて行くと、途中の高台に小さな公園があった。
公園は金網で取り囲まれていて、金網の向こうは、はるか下に自動車が行き交っていて、巨大な百貨店が林立している渡海の風景が見えた。

そこに突然、電話がかかってきた。
父と母からのようだったが、出るや否や耳を引き裂くような金切り声の悲鳴が聞こえた。自分の団地にいる父と母に何か由々しき事件が起こったようだった。
走って自宅に戻ると、部屋には呆けた父と母がいた。まるで死人のように灰色になって、明らかにさっきここで何かが起こったことを物語っていた。父も母も何かに感染してしまったようで別人のようになっていた。

壁をゴキブリがかさかさと這っていた。その刹那、まるで大きな塊となったゴキブリの大群がこの部屋を襲った映像が見えた。
この団地を今すぐにでもでなくてはならないと思い詰めている。□