美術館の匂い

京都市美術館再興第91回の院展を見学に行ってきた。


院展のクオリティはあいかわらず高い。
日本画というカテゴリーに収まらず、今日本で出せる絵画の最高峰のひとつといっても過言ではないだろう。これだけすごい文化を日本人が持ち作り出すことを誇りに思う。


院展は東京を皮切りに日本各地を巡回するが、やはり京都市美術館で見るのが最高の贅沢であると思う。
木造建築であるため、フロアは古い木の匂いで満たされている。歩くたびに足元でぎしぎしと音がする。
美術館の静寂をやぶる音が直接の人の声でなく、間接的に人の歩みを示す木の音であるところに情緒を感じてしまう。
はるか頭上には小さな窓がいくつか作られており、そこから入るわずかな量の光が絵を照らす。
あくまでも絵を最も美しく気持ちよくみせるために設計された美術館なのである。まさに京都にふさわしい素晴らしい建築だと思う。
次回からは東京都美術館で見ることになるのだろう...。


最後の京都(?)をおしみつつ、その後清水寺界隈まで足を運んでスケッチを楽しむ。
案の定、外国人観光客にとり囲まれる。
そんなところもやっぱり京都なんだなぁと感じる。こんな体験もしばらくはおあずけだ。□