2020年はすごいことになりそうである。
ここ数年、年末になると本屋に「来年の必見美術展」といった本が並ぶようになった。
ぴあ、大人の休日、芸術新潮、その他もろもろ....。
数年前にそんな本が並び始めたころは、なんだか胡散臭い感じがしたのだけど、今となっては食い入るように全ての本に見入っている自分がいる。
セカンドオピニオン、そしてサード、フォース、フィフスとすべてを見比べ吟味する。
どの本を見ても大体巻頭を飾る展覧会は一緒である。2020年はロンドンナショナルギャラリー展が本命だ。
だけど、そういった共通部分を過ぎた後半になると、編集者の意向によって紹介する展覧会に差が出てきて、発見があり、見比べていくのが楽しいのである。
数年前にミュシャの大作や、ブリューゲルのバベルの塔がやってきたきは、美術ファンでなくとも美術館に行かねば!という気持ちが芽生えたほどのホームランが連発したことがあったけれど、以来、個人的にはどうもホームランの出ない微妙な数年が続いていたように感じている。
でも2020年は数年ぶりにホームラン連発の年になりそうだ。
ロンドンナショナルギャラリー展は大本命として、特に東博、京博が本気を出してる。
トーハクは、法隆寺の百済観音を360度から観られる法隆寺展、メトロポリタンから凱旋する「誰が袖図」を魅せるKIMONO展、鳥獣戯画を全部見せちゃう展覧会の3連発である。キョーハクの西国三十三所展では国宝・粉河寺縁起絵巻が登場する。キョーハクは、2019年の三十六歌仙絵に一遍上人聖絵など埋もれた国宝や重文を掘り起こし楽しく紹介することのできる優れた企画屋がいる。2020年もなにを打ち出してくるか楽しみでたまらない。
東京都美術館でのボストン美術館では、日本に残っていれば絶対国宝の「平治物語絵巻」がダイナミックに展示予定だし、それにリンクした形で三菱一号館美術館も名宝の絵巻を開示するようだ。
さらに、京都市美術館は京都京セラ美術館となりアンディ・ウォーホル展を開催。ブリジストン美術館はアーティゾン美術館、東郷青児美術館はSOMPO美術館と多くの美術館がリニューアルされることも楽しみだ。
さらにさらに。3年ぶりの横浜トリエンナーレも開催されるし、カラヴァッジョもやってくる。
ダークホースの神田日勝も東京ステーションギャラリーにお目見えする。
もうとにかく国宝級の名品がこれでもか!とばかりに展示される1年となりそうなのである。
オリンピックイヤーに合わせてきたのだろうか、2020年は美術館に行こう。そうおすすめしたい。□