旅芸人ザンパノとジェルソミーナの旅を描く、フェデリコ・フェリーニ監督のロードムービー。
全編にただよう貧しさと、哀愁と、それを中和するジェルソミーナの表情が印象的。
ジェルソミーナの表情、動作には「ピエロ」を感じた。
旅芸人になる前の冒頭から完っ全に「ピエロ」でしょ。
彼女が劇中の哀愁を中和し、また哀愁を生み出すという不思議な存在となりえた理由はそこにあるのだろう。
また、胸板で鎖をちぎるという芸だけで綱渡りのように旅を続けていくザンパノの生き様には「あやうさ」を感じた。
ジェルソミーナの天真爛漫な性格がそのあやうさを中和しつつあったが、ザンパノが誤って同業の綱渡り芸人を殺害し、そのショックで気が狂ってしまったジェルソミーナを見捨ててから、そのあやうさのバランスが崩壊し一気に転落する。
泥酔したザンパノが夜の海を前に、ジェルソミーナを見捨て殺した過ちを悔やみ、悲しみを噛み締め砂をつかむラストが印象的だった。□