敬愛する藤子・F・不二雄(藤本弘)先生の大全集の刊行が始まった。
小学館が満を持して放つ、第一期全33巻。
もちろん、即決で全巻購入した。
7月から刊行開始となり、今「ドラえもん」第1巻から少しずつ読み始めているのだが、やはり藤本弘は天才だと認めざるをえない。
小学校のとき初めて読んだ「ドラえもん」だが、この年になって改めて読んでも全く色あせず、普遍的に面白い。
のび太がドラえもんの道具に頼り、ひどい目にあったり、どたばたするというギャグマンガのような展開も面白いが、それ以上に、ときおり挿入される人間をテーマにした話の強さには涙が出てくる。
のび太が死んでしまったおばあちゃんにタイムマシンで会いに行く「おばあちゃんのおもいで」。
死んでしまったはずのおばあちゃんに遭遇し号泣するのび太を見て、つい自分も号泣してしまう。
おばあちゃんに会いたいのはのび太だけではない。
みんな会いたいのだ。それをドラえもんとのび太が実現してくれた。
小学校時代には決してしなかった読み方である。
読む年代によって見えるものが変わる。そしていつもそれは新しい。
こんな素晴らしい漫画を書ける人はそういない。藤本弘はまさに20世紀の巨人だ。
同じ時代に生きられたことを感謝しつつ、33巻を楽しみにじっくりと読んでいきたい。□