エンドレスエイトの前衛

涼宮ハルヒの憂鬱の新作「エンドレスエイト」が話題になっている。というか、なっていた。


一般的にアニメーションに限らず、映画でもドラマでも、作品について視聴者が話題にするのは、ストーリーがどうなったとか、新しいキャラクターが出ただとか、あくまでも作品の中に展開する事象のみを追いかけるのが常識である。


が、京都アニメーションはこのエンドレスエイトでこの常識をぶっ壊してきた。


エンドレスエイトは、夏休みが延々と繰り返される。というストーリー展開だ。


放送内容も、毎週毎週全く同じストーリーが延々と続いていく(しかも、同じなのは展開だけで、作画は個々に異なるカットを切りきっちり作るという周到さ)。


視聴者はアニメに登場するキャラクターと同じ立場に立たされ、いつになったらこのループを抜けることができるのだろう、と不安になりながら毎週見守ることになる。


自分はこんなすごい「事件」が起こっていることを全く知らなかった。


日々の多忙ゆえ録画だけして見られていなかったこれらの作品を後から見て、ようやく事件に気がついたのだが、そのときには既にこのエンドレスエイトは決着がついてしまっていた.....。


作り手の意思は、アニメーションの新しい表現を視聴者に提示し、オンタイムで不安になり、混乱してほしい。というところにあったのだと思う。


気がつけば「8回で終了した」。という結果だけを知りながら、後からまとめて視聴するはめになってしまった.....。
作り手の意思を享受できなかったことに激しい後悔を感じた。


要は、アニメーションの内容でなく「8回で終了する」というところが「ネタばれ」に当たる内容なのであった.....。まさに「前衛的な表現」ではないか!



京都アニメーションの名はブランドだ。と言われているがそれも納得せざるを得まい。
彼らにとってアニメが綺麗に動く。ということについてはとっくに卒業してしまっていて、次にどうやってそれ以上の仕掛けを作っていくか、に注力している。


日本のアニメはまた新しい進化を遂げようとしている。


表現に限界はない。ただ今ある常識の中で作っていては前進はない。


新しいものをつくるということはすごいエネルギーを必要とする。
だから多くの人は自然と今あるものでまとめようとして問題から目をそらそうとしがちだ。
自分もその一人だったと反省する。


自分はこの事件を「お前も進化せよ!」という京都アニメーションからの強い叱咤激励だと受け止めた□