宴の始末

第二回目の個展が無事、千秋楽を迎えた。


制作をしていたこの3ヶ月の砂漠を歩くような日々の永さに比べると、
宴が始まってからの1週間はあまりにも短く感じた。


きっと来てくれる、と信じていた人が現れなかったり。
たぶん来ないだろう。と思っていた人がふと現れたり。


そういった小さなことが、自分にとってはちょっとした喜びにもなり、ダメージにもなったりしていた。


だが、そんな人々を眺めているうちに、ふと頭の中に一つのフレーズが涌いてきた。


「個展は、花だ」


誰かが見てくれたとか、見てくれないとか。そんなものは関係はない。


こちらはただいつもここで「咲くだけ」なのである。


花のように、ひっそりと。それでいて、きっちりと。いつも咲き続ける。


それが絵を発表する者の役割なのだ、と思った。


そう思うと、すっと自分の中にあったどろどろしたものが、すっと浄化された気がした。


描き手は、相手に求めてはいけない。与え続けるだけでいい。



その翌日、当直をお願いしていた女性から「絵が売れました」と電話があった。


それから千秋楽を終え、最終的に6枚もの絵が売れた。


お金のことではない。ただ自分の等身である絵を気に入ってくれ、買ってくれた。それは自分という人間を許してくれた、求めてくれた。ということだと感じた。


これがどれほどにうれしいことか。到底言葉にはできない。感謝としか表現ができない。


もしかしたら自分という花も、ようやく今になって人の足を止めるだけ綺麗に咲けるようになってきたのかもしれない、と思い、大きな励みになった。



ご協力いただいた皆様、そして、お忙しい中、はるばる会場まで足を運んでくださった皆様、本当にどうもありがとうございました。


次回はまた来年。
もっともっと綺麗に咲いて参りますので、ふと目に留まったら立ち止まっていただければ幸いです。□