理髪師のデッサン

髪を切った。


駅前のQBハウスでばっさりと。


いつも同じQBハウスを利用している。


ここには3人のスタッフがいる。男性2名+女性1名の組閣だ。


男性2名は腕も手際も大変良い。
だいたいの要望を伝えるだけで理想的な髪型に仕上げてくれる。


が。女性1名の方は大変腕が悪い(と僕は思っている)。


目を閉じて彼女が自分の髪を切っていく手際をじっと感じていると「全然上手に切れてない」と感じる。


デッサンができていない。


人差し指と親指で5本ほどの髪の毛をつまんで引っ張り、その先を5ミリほど切る。


そんなことを20分ほど繰り返した後、「終わりました」と言ってくる。


なんだそれ、始まっても居ない。


こちらの希望は単純である。


「刈り上げずにばっさりと短くしてくれ。かつ、おかしくない程度に」だ。


だが、それができない。


かつて「もうちょっと短くしてくれないか」と伝えたことがある。


そうしたら「(これだけ短くしたのに)まだ切るのですか?」と言ってきた。


もういいや。と思った。
それ以上答えると絶対に角が立つとわかっていたので冷却エネルギーを総動員してトサカを冷やした。


多分、彼女は理髪師ではなく美容師を目指していたのだろうと思う。


髪を短くすることよりも、かっこよさ最優先というようなカットの仕方が身に染み付いているのだろう。


だが、この店のコンセプトにそんな「おしゃれイズム」は要らない。


そんなもの捨ててきがやれ。と叫びたい。


では「お前こそが、その店に行かなければいい」という声もあるだろう。
だが、先ほども書いたとおり、残り2名の男性の腕が良いのである。というか、おもいっきり良い。
だからこの店を切り捨てることができない状態で居るわけなのである。


店員を指名できないものだろうか?とも考えたのだが、これまた指名されない方には角が立ちそうな気がして、まだ実行するに至れずに居る.....。


こうして自分は毎回、毎回、「今日も彼女に当たらないように!南無南無!」と数珠を握り、祈りつつ、ロシアンルーレットの銃口を自らの頭に向けるような思いで、QBハウスの入口をまたぐのである。


ちなみに今回は、男性が担当で、ほっと一息。


次号、詰むや詰まざるや?(意味不明)□