(古典部シリーズ2)「愚者のエンドロール」米澤穂信著 角川文庫(6点)
(※以下、思い切りネタバレして書きます。ご注意を)
文化祭のために自主制作していたが、脚本家の体調不良で制作が頓挫してしまったミステリー映画の犯人探しを古典部が挑む。
前作「氷菓」にあった時間の重み、深さといったものはあまり感じられない。
結論は、カメラマンが犯人だった。というミステリであるが、意味を持たない描写がそこここに挟まれていて、結末までの過程にややゆるさ、冗長が感じられた。
折木ホータローが結論を出した後も、脚本担当の本郷真由が考えていた結論とは異なったのではないか、というもう一つの謎がつづられるが、最初に出された「カメラマンが犯人」という結末ほどのインパクトほどのものでもなく、なにかしっくりこない着地をしている。
最後まで名前だけで本編に登場しない脚本の本郷真由が、実はXXXだった、なんていうどんでん返しのようなものをすごく期待して読んでいたのだが、そこまでののびしろもなかった。
綾辻行人「どんどん橋おちた」にある「意外な犯人」とトリックが重なっており、免疫が出来てしまっていたのも物足りない原因だったろう。
キャラクターの魅力は健在で楽しくは読めるが、総合的に見ると残念な点が多い。□