夢十夜 Season5 第一夜

 

こんな夢を見た。

 

「凶悪な犯罪者が車で逃走中」とテレビが報じている。

歩道に突っ込んで暴走する車と逃げ惑う人々の映像がテレビに映されている。

こわいものだと思いながら外に出ると、友人と共に車に乗り込んだ。

車はパトロールカーだった。

自分の車もあったが、ある知人にどうしても車を貸してほしいと頼まれ、交換でパトロールカーを借りたのだった。

友人を後部座席に乗せて山道を走っていると、前方に先ほどテレビでみた凶悪犯罪者の逃走車が、走っている。

犯人はこちらのパトロールカーに気づくと、ものすごいあおり運転を始めた。

右へ左へ車道を平気で乗り上げ、はげしい蛇行をしている。

だが、やがて犯罪者の車は左側にゆっくりとまると、犯罪者は車を降り、こちらに歩いてくる。

2メートルくらいある大男でいかにも凶悪な顔をしている。

彼は言った。

「自首するから警察署に連れて行ってくれ」

こちらを完全に警察と勘違いしているようだ。

威厳のある表情を装いながら、こっそりカーナビで近くの警察署を検索する。

警察官のくせに警察署の場所知らんのか。ばれたら必ず殺される。

助手席の引き出しを開け、手錠を探すがない。

手錠をつけずにこの凶悪犯を車に乗せて大丈夫だろうか。

走り出してすぐに後部座席にいる友人を殺害し、自分の首を絞めてくるのではないか。

鏡で友人の表情をうかがうと、もう死んだような顔をしているが、犯罪者を乗せることを拒むパトロールカーもない。もし乗せることを拒んだらこの場ですぐ殺されることも分かっている。

仕方なく犯罪者を手ぶらのまま、後部座席に乗せ、走り出した。

犯人は今のところ悪意のある様子はない。

警察署にたどり着くまで生きていられるだろうか。と考えている。□