今日の一冊

 

ホーソーンシリーズ2

「その裁きは死」アンソニーホロヴィッツ著 東京創元社

 

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今、アンソニーホロヴィッツのミステリーは、どの本屋に行っても、山積みになっている。

 

帯に書かれた「全制覇」や、これだけの騒ぎを目の当たりにしている以上、ミステリーファンとして読まずにはおけない。

 

離婚訴訟を扱う弁護士のリチャード・プライスが、高級ワインの瓶で撲殺された。

リチャードは、訴訟中だった顧客エイドリアン・ロックウッドの妻、アキラ・アンノに、レストランでワインをかけられ「ワインの瓶で殴り殺す」と激怒されるが、やがて宣告されたとおりにワインの瓶で撲殺された。犯人はアキラなのか。....という語りで物語がはじまる。

さらにリチャードの学生時代の親友チャーリーとグレゴリー。

彼らは、学生時代から卒業後も趣味の洞窟探検を続けていたが、探検中に大雨に遭い、親友の一人チャーリーは、洞窟の中で溺死した。そんな過去も絡み、事件は複雑な展開を見せる。

 

海外作品ということで、いつもの海外作品ならではの「よくわからない表現」を警戒したが、むしろキャラクターたちの言葉が本当にリアルで、とても読みやすかった。

主人公のアンソニーホロヴィッツとダニエル・ホーソーンが、アキラ・アンノを訪れて聞き込みをしたときの語りは、アキラが詩人という設定ならではの密度をもっており、とても創作とは思えないリアリティがあった。

ミステリーとしては、「毒入りチョコレート事件」のような解決に向けて多面的な解釈がされる描き方をしていたが、最後はきっちりと1つの解答を示していてよかった。

 

リチャードの殺人事件以外に、主人公であるダニエル・ホーソーンの遍歴が秘密として、伏線が張られていて、全10巻で解決するようだ。

全10冊のシリーズを宣言して描かれるミステリーと言うのは珍しくて(銀河英雄伝説みたいだ)、最後まで楽しみに読み通したいと思う。

アトリエの研究生から借りたので、まだ1巻の「メインテーマは殺人」は読めていない(というか、なんで1巻からじゃないの?)。次は1巻を読みたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(以下、ネタバレのメモ)

 

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途中、アンソニーの推理では、エイドリアン・ロックウッドを犯人として推理を披露したが、それは誤りで、犯人はチャーリーの息子コリンだった。□