初めてPerfumeのライブに行った。
「どうやって作っているのだ、これ......?」
Perfumeの3人のダンスや、楽曲の強い魅力に惹かれながらも、2時間ものあいだ、脳はずっと、手品の種をあばこうとする強欲なマジックファンのような目でステージを見つめていた。
会場に入った途端目を引いたのが、アリーナのど真ん中に設営された200メートルくらいの巨大な長いステージだった。
なんだこれは.........!?
こんなステージは見たことがない。
ホールツアーの一般的なライブでは、スタンド席の西側か東側にステージが作られ、アリーナ席を埋め尽くしたファンがステージを眺めるという形をとることが多いけど、今回はそのアリーナ席の2/3くらいがステージになっちゃってる。
Perfumeはバンドではなくて、ギター、ドラムといった演奏者をステージに配置する必要がないから、3人が縦横無尽に歌って踊れるステージが組めたのだろうか。
きっとデザイナーや演出家が知恵を絞って、どういうデザインにしてどのように3人がステージを彩るかなんてことも、じっくり練りこんだのだろう。そんなアイデアを設計図に起こして、組み立てるスタッフもいただろう。ツアーだから当然これらを組んで、解体して全国に運びまわる。大変な労力である。
各曲には、実に様々な演出が盛り込まれていて、いちいちびっくりする。
ある曲では半透明の円筒形のスクリーンがステージを取り囲んで、プロジェクションマッピングがされ、その中を3人が歌い踊ったりしていた。
ステージはエレベーターで上下するし、床下に隠された穴を使った瞬間衣装替えのような見せ場もあった。
隅から隅まで驚きの連続ドラマで、デザイン、演出、ギミックが詰め込まれた豪華なステージだった。だが、それでいて、ライブ中はPerfumeの3人以外、スタッフの姿がほとんど見えなかったことにも驚いた。
きっと全てのスタッフたちは、ステージの下や影に隠れ、仕掛け、15000人のファンの目がPerfumeの3人に集まるように支え続けていたのだろう。
ステージの上で活躍する3人もさることながら、見えないところでしっかり支えるメンバーたち、彼らの一丸となった徹底したステージづくりに、心底恐れ入った。
かつては、ステージ上で歌い、踊る御本尊だけに目を向けるような楽しみ方をしていたのだろう。
けれど、今の自分は、もちろん御本尊も楽しみながらも、陰ながらステージを支え一緒にステージを作っているスタッフをもかっこいい。と感じ見ていたのだった。
それは、今の自分の位置を彼らに投影して知らず知らずのうちに応援していたのではないだろうか。
全然関係がないが、長い間見ているゲームセンターCXのすごいところというのは、ゲームに挑戦する御本尊である有野課長だけではなく、裏方でがんばるスタッフたちも、キャストとして、御本尊として、カメラの前に登場させた史上初の番組だったというところにあるのではないか。
コンテンツを作るすべてのスタッフたちは、全員御本尊なのである。
なにはともあれ、これまでいろいろ観てきたつもりではあったけど、免疫なんて全然できなくて、まだまだ世界は自分をこれほどまでに驚かせてくれるのかと思い知ったのです。
プロってすごいです。そんなことを考えるライブなのでした。□