3冊のシリーズの中では、
1位 緋色
2位 黄昏
3位 暗闇
だろうか。
このシリーズは、心の底に残った「幽かな記憶」を詩情と残忍とミステリー要素を交えながら掘り起こしていく、といったものになっているが、自分にとっては、ミステリーとしての「驚き」の大きさが最優先の指標。
黄昏も、完全に「え!?お前が犯人?」だった。気持ちよくだまされた。
(注意:以下自分のためのメモ=全てネタバレ)
・幼いころの封印されたタブーな記憶の断片が少しずつ解かれていく系。
「あ、思いだせそう」「駄目だ思いだせない」を繰り返しながら真相へ向かう。
・医大生の津久見翔二(主人公)の落ちこぼれの兄・伸一がマンションから突き落とされて殺された。それから次々と殺害される伸一の幼いころのクラスメートたち。兄の予備校教師だった良き先輩である占部なおきと出会い真相を調べていく。
・幼いころの記憶
伸一とその友人らで「おじぞうさんが笑った(だるまさんがころんだ)」をしていたところ、のりちゃんと呼ばれる子が「古い銀貨をあげるから仲間に入れて」とやってくる。からかわれ、ばかにされながらも仲間に入って遊んでいた最中、坂道を下り突っ込んできたトラックにひかれ、のりちゃんは死亡した。全員はそのことをそこだけの秘密として封印して逃げた。それを仲間に入れてもらえず、土管の中から見ていた翔二。
・幼いころの記憶の真相
のりちゃんは、近くに来ていたサーカス団の子・山内典太(=実は翔二の家のお手伝い・飯塚せつ子の息子)として物語は進むが、ミスリード。
のりちゃんの正体は、占部なおきの母・晴海(喫茶店「飛行船」)の父(ぼけ老人)だった。
・真犯人=占部なおきの母・晴海。
のりちゃんを、トラックで殺したのは晴海(介護と育児でノイローゼで)。
さらに15年経って自分にそうさせた伸一とその仲間たちにねじれた恨みが再発し殺害へ走る。
・占部なおきの友人で刑事の武藤が犯人かと思っていたが(妹が法代=のりちゃんであったりしたから)、これもミスリード。気持ちよく騙された。
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