読書 「アヒルと鴨のコインロッカー」伊坂幸太郎著 (7点/10点)

最近映画化されたそうで。それがまたすこぶる傑作だそうで。


もともと伊坂幸太郎という名前は本屋の店頭でちょくちょく目にすることはあったものの、実際に読むことはなかったのだが、それだけよい映画の原作ならばやはりすごいのだろう。ということで手にとってみた。


物語は2年前と現在が交互にからみながらテンポよく進んでいく。
いきなり広辞苑を盗む!というちょっとした不条理的な要素を持ちながら、ミステリとしてそれらの不条理への現実的な答えをきっちり作りこんでいる点が見事だった。
2年前と現在のそれぞれが組になっていて、文体の作り方がシンメトリーになっているのもすごいと思った。
一つの青春小説としても読むことができて、本作を支える大きな「謎」はおまけなのかもしれない。

実際、ミステリと思って読んでいなかったのだが、よくよく本を見ると創元推理文庫なのでなるほど。と納得する。


ただ個人的には期待しすぎたのか、全体的になんとなく薄味に感じた。
個々の小道具の使い方や構成力はすごいんだけど。
ばらまいた不条理が100%自分の中ですっきり浄化されたかというと、なんとなくこじつけのような印象も残っていてすっきりしなかったんだな。
あと読後の余韻というか匂いみたいなものがやっぱり「薄い」。


それにしてもこれ、どうやって映像化したのだろう。そこが気になる。
今度映画版も見てみよう。□



前回読んだ本→ 「世界征服は可能か」岡田斗司夫