宮崎駿監督の引退宣言について。
僕は「反対」です。
そもそも、芸術家の引退宣言なんてのは聞いたことがない。
今日までやって、明日からやらない。なんて。
そんな簡単に白黒つけられるような仕事じゃないですよ。
芸術家が追い求める夢の多くは、たいていは一生かけてもたどりつけないもので、「やりつくした」なんてあるわけがないと思うのです。
高山辰夫は、車椅子に乗りながらでも描き続けたわけで。
市川崑は、最後までタバコとメガホンを離さなかったわけで。
小澤征爾は、今もがんと戦いながら指揮棒をふっているわけです。
宮崎監督の引退は「体力の限界」という理由かもしれないけれど、それでも引退を公にする必要もなかったと思うのです。
このまま黙っておいて、ただ今後、長編作品をつくらなければいいだけですから。
ファンはそれだけで、いつか新作が出る。という漠然とした希望を持ち続けられるし、待ち続けることができる。
でも、二度と作らないといわれてしまうと、もう希望は無いわけで。精神的なダメージは結構大きいですよね。
せめて「休養に入ります宣言」くらいでよかったのではないか。サザンオールスターズのように。
いつかは戻ってきてくれるという一縷の望みを残しておいてほしかった。
でも、そもそも、本当に「引退」なんてできるのだろうか?
そのうち、やっぱり作品をつくりたくなって、どうしてもうずうずしてくるのではないか。
だってやることないでしょう。作品制作以外。
幼稚園経営?美術館の企画?.....それをこれからの本業にするには、もったいないような気がするのです。
まあ、70歳もすぎて現役にこだわるのが見苦しい、引退も潮時だ。と感じる人もいるのだろうけど。
僕は「引退」こそが見苦しい結果になると思うのです。
それだけ高尚な仕事をしていた人が、現場を離れてなにやってんだと。
じゃあ芸術家を引退して、何になるのか。と思うわけです。
人からどうこういわれるでもなく、喫煙家がどうしても禁煙できないように、しばらくすれば、やっぱりまた新しいテーマを見つけておいかけてしまうんじゃないか、と思うんだけど。
何はともあれ、9月6日の記者会見です。いったい何が語られるのだろうか。
最後の可能性としては「病気」ですかね。記者会見で、がんの告知とかされたらそれまた大きなショックですよ。
「作りたくても作れない体になってしまいました」みたいな話が出たりしたら...。血の気が引くね。もう何も言えませんな。
プロフェッショナルで健康診断に行く時間がないとか言っていたような気がするし....。
とにかく、今は残念で、残念で。
せめて、なんらかの納得のいく前向きな会見であってほしいのだが....。□