ふたつの居酒屋に訪れました。
ひとつは、100種類もの銘酒がガッツリと揃えられたお店。
ひとつは、種類はそれほどでもないけれど、アッと驚く希少な銘柄を紹介する店。
両方とも、ほんとうに良いお店でした。
だけどね、ぼくは後者のお店がとても気に入ったのでした。
100種類をそろえるお店は確かに素晴らしい充実ぶりだったけれど、目移りばかりしてしまって正直なところ、何を呑んだか、どんな酒だったかをあまり思い出せないんです。
対し、種類が少ないお店の方は、銘柄は少なかったけれど、1つ1つのお酒にとてもインパクトがあった。さらに。
「ノンストップエロティックキャバレーって知ってますか?」
店員さんも、お酒への愛があふれていた。
料理に合わせるなら。ジャケットで買うなら。レアな銘柄なら。.....と、ぼくらの話のひとつひとつを拾ってくれて、自分のことばで、おいしい、まだ見ぬ、驚きのお酒を薦めてくれたのでした。
おかげでとても楽しいお酒の席になって、あとの余韻もとても気持ちが良かったのでした。
「いいものを1つ」でいいのではないかな。と思ったのです。
呑む時間も呑める量も限られているならば、たくさんよりも、いいものを1つ。絶対に忘れない1つ。でいいのかと感じたのです。
山手線を一周するほど多くのお店で呑んできたけれど、振り返ってみたら印象に残っているのはそういうお店が多いことに気付きました。
モノよりもコトの時代なのかもしれない。そんなことも体感したお酒になりました。□