夢十夜 Season3 第十夜

こんな夢を見た。

父と二人で山奥に出かけて狸狩りをした。
いきのいい狸を1匹捕まえることが出来たので、かばんに入れて居酒屋・福ちゃんに持って行った。
大将に狸を渡して調理をお願いして、5,6人で満員になるカウンター席に座り、待つ。
やがて、とてもいきのいい狸肉が豪華に大皿にもられて出てきた。
ひとつひとつのお肉は雪見だいふくのような大きさで、美しい薄桃色をしている。それらが大皿に花びらのように円状に盛られていて見た目も大変美しい。
それらの肉を野菜と共に次々と鍋に放り込んでいく。
美味い。父と二人で最高に美味い狸鍋をたらふく食べた。
ふとカウンターの向こうを見ると、友人の百瀬が全く知らない男と二人で酒を飲んでいる。
どうやら店の入口は反対側の大通りに面した方にも一つあって、そちらから入店したようだ。
酒が好きでないくせに珍しいな。と声をかけると気まずそうな顔をしている。
帰り際に大将に狸の残った部位である脳みそや内臓をおいてもらって、次回また来たときにチタタプにしたり調理してもらえないか、とお願いしたら、大将が困った顔をして答えた。
狸の部位は調理したその日中に食べないと、とんでもない悪臭を放つらしい。冷蔵庫の保管も無理で前回同じような客の要望を受けて大失敗をしたという。
残念だけど残った部位は処分してください。と大将に伝えて福ちゃんを後にした。
父は8時丁度のあずさ2号で東京に去っていった。□