ムキになる人。

 

「おれ、なんで走ってんだろう......?」

 

かつて一緒に仕事をしていた同僚がふと漏らした一言です。
とても優秀な同僚でした。
15年くらい前のことなのに今なおその言葉を鮮明に覚えているんです。
確か納期が迫っていて、急がなきゃ!と思い込んで、無意識に走っていたのでしょう。
でも、後で振り返ってみると、走ろうが、歩こうが、結局納品には大差など無かったのです。彼はそのことに自分で気が付きました。

急いでいる人は普段でもよく目にします。
例えば朝、赤に変わろうとする横断歩道の信号をダッシュして渡りきろうとする人(それは僕だwww!)。
でもその横断歩道を渡りきれたからと言って、いったいなんだというのだろう。
走っているときは、なにかとても大きな喪失をまぬかれるかのように思い込んでいるけど、そんなのは高々5分程度の差でしかない。
例えばもし、そのせいで遅刻して叱られるというのならば、もう歩いても走っても遅刻ですよ。そもそも走らなくてはいけないほどのぎりぎりに自らを追い込んでしまった自分のせいです。
その状況を受け入れて、歩いてしまった方が、心も平穏だし、変な事故を招く事も無くてむしろ安全だったりします。

 

結構、ぼくらは無駄なところに不要なエネルギーを使っているなと思うことがあります。

「ムキになっている」ということなんでしょう。

遅刻するといって走る人。もう走っても遅刻なんだからもう歩いた方がいい。

アクセルを踏み込んで突っ走る車。たかだか数分程度の差です。むしろ危ない。

 抽選があると走る人。走っても歩いても結果は変わりません。

それでも、実は必要なところにはエネルギーが使われていなかったりする。
本当に大切なことは信じられないほど手を付けずに放っておかれたりしている。

どこに力を注ぐか。どこを慌てるか。

慌てるほどに、冷静になって考えてみたい。それほんとうに慌てるべきところ?□