チェ 39歳別れの手紙 (6点/10点)

前作「28歳〜」との差がほとんどない。


同じ映画を見ているようだ。


冒頭、サブタイトルにもなった「別れの手紙」がフィデル・カストロにより読まれるシーンがあるが、チラシに書かれていたこと以上の情報はない。


事実以上に強調しまくるアメリカ娯楽的な映画を避けよう、というコンセプトは理解できるが、あまりにもあっさりしすぎてはいないか。


本作も前作同様、チェ・ゲバラのカリスマ性はほとんど描かれていない。


本作ではキューバ革命を成功させたチェ・ゲバラが、次なる革命のためにボリビアに潜入するが、革命に失敗しボリビア軍に処刑される。
その処刑シーンでも、せめて視聴者に「殺さないでくれ!」という感情を沸き立たせるような描き方をしてほしかった。


この映画から見える革命家であれば、世界中にぞろぞろ居そうな気がしてしまう。
そういう存在とは一線を画したチェ・ゲバラの存在感をもっと見せてほしかった。


本作でも唯一、チェ・ゲバラのカリスマの片鱗を魅せるシーンがある。
ボリビア軍につかまり、敵兵に監視されながら最後の夜を過ごすシーンだ。
ボリビア兵にタバコを吸わせてもらい質問を受けるチェ・ゲバラ


「神を信じているか」という質問に対し、


「俺は人間を信じている」と答えるチェ・ゲバラ


なぜこういう強いシーンをもっと点在させないのか。


ここを描かずしていったい何を描きたかったのだ、とすら思ってしまう。□