チェ・ゲバラの取り組んだキューバ革命の内容を知るドキュメントとしてはよくまとまっている。
時間的に前後に散らばる断片的な各シーンが見事につながり、一本のストーリーをつむぎだしているところは、ソダーバーグ監督の脅威の編集能力の賜物だと思う。
が、全体的に「薄味」である。
チェのもつカリスマ性というものがほとんど映像に出てこない。
だから歴史上の他の革命家と比較しても彼らとの差がほとんどわからない。
チェ・ゲバラという存在が、何故今になってもこれほどまでの世界的な存在感を有しているのか、が明快に伝わるエピソードを入れてくれてもよかったのではないか。
例えば、まとまりのない兵士たちをびしっとまとめた一言が実際はもっとあったのではないか。
唯一、その片鱗が見えたのは、ラストシーンである。
仲間と共にジープで最後の戦場に向かうシーンで、チェが、アメリカから強奪したスポーツカーで戦場へ向かう部下を叱り付けるところだ。
また、若すぎて革命に参加させないとした2名の若者はどうなったのか、など気になるシーンも残った。
ディレクターズカットかもしれないが、視聴者に気にさせるくらいならいっそこのシーン全部をディレクターズカットとしてもよかったのでは、と思ったりもしてしまう。□