東京で開催されている、大友克洋展と尾田栄一郎展(OnePiece展)に足を運んだ。
今年は更に荒木飛呂彦展の開催も決まっており、いわゆる原画展ブームの年のようだ。
震災に対して漫画家として何が出来るか。ということへの答えが徐々にまとまってきた、ということだろう。
大友克洋展はAKIRAの全原画が展示されるという空前絶後の展覧会で、あらかじめすごいとは知っていたものの、実際にその膨大な原稿がウィンドウの中にびっちりと展示される様を目にしたときは驚愕してしまった。
そして1枚1枚の徹底した描き込み。
石ころ1つ描くことにも、パースペクティブをしっかりと取って描く。という噂が出るほどである。建物、人、乗り物、どこを見てもしっかり丁寧に描き込みがされている。一切の隙がない。
先般、フィレンツェでルネサンスの偉大なる作家たちの作品にうちのめされて帰ってきたのだが、日本にもルネサンスに匹敵する作家がいる。と思った。
尾田栄一郎展は、全体として原画展示をメインにしたものではなく、1/1フィギュアやら映像やらの展示もまじえたテーマパーク的な展覧会だったが、さすがに60冊にもおよぶ作品を描き続けているだけあり、原画展といってもいいほどの膨大な原画が展示されていた。
こちらも大友克洋に匹敵するほどのすばらしい仕事である。とくにカラー原稿の美しさが印象に残った。
GWにフィレンツェで見たルネサンス作家の作品の数々、ピエロ・デラ・フランチェスカの衝撃からはじまり、この大友克洋展、尾田栄一郎展...とどれを取ってみても、まさにこれこそが「プロ」という仕事で、圧倒されっぱなしである。
本当に自分のやっていることが、ますます「おままごと」としか感じられない。
「自分が受けたものを社会に還元していかなくてはならない」
切にそう思う。
我々の使命は、先輩たちが残した偉大なる仕事を受け、今度は自分がそれを超えるものをあらゆる全力で出し切り、次の世代につなげていく。ということである。
それに対して、自分の仕事はまだまだ全然足りない。
先輩方の作品から声のないおしかりを受けた気分である。
超えられるのだろうか....だが、挑戦しなくてはいけない。明日からまた戦いが始まる。□