ややこしい人。

かつて、こんな先輩がいた。

20人くらいの強面の参加者がいる打ち合わせの席で、臆せずに前面に出て、キビキビと説明をし、ガンガンと意見を飛ばす。

けれど、打ち合わせの席を離れたとたん、彼は、まるでそれまでの力強さが嘘であるかのように、照れ、はにかんで、他人から目をそらしてしまうのだった.......。

まるで逆ではないか?

普通ならば、むしろ、強面の集まる打ち合わせの場では気おされ、声が小さくなり、打ち合わせが終わった場所で、態度が大きくなったりするのではないのか。

でも発言しにくい場で堂々と発言が出来て、どうでもいい場で声が小さくなる方が断然いい。
当時の僕はそんな風に、彼のことをうらやんでいた。

だけど、最近の自分を見ると、知らず知らずのうち、彼のスタイルに近づいているような気がするのだった。
打ち合わせの場では、考えや意見が気軽に発言できるが、打ち合わせの席を離れると、むしろ人と話すのがしんどいのである。

これってなんだろう。と考えていました。
おそらく、打ち合わせや飲み会の席ってのは「話していい」と公に認められた場なんです。だから話してもいい。むしろ話してほしいと期待されている。
逆に、そんな場所を離れると、個々はどんな状態であるかが全く分からなくなる。忙しかったり、暇だったり。話していいのか、悪いのか、見ただけではそれがわからない。それを自分で判断しなくてはいけないのです。

彼も僕も、きっと「話していい」と決まっている場所ならば、そのとおり話せるのだけど、「話していいかどうかわからない」ような場所は、自分から空間を「話していい」という場所にしなくていけないのだけど、それができないのです。

めんどうくさいですね。でもそういう壁が僕の中にはあります。
邪魔したくない、されたくない。という僕の中の一方的な親切心が作った高い壁なんだと思う。

たぶん、話しかけられる人はそんなこと考えてもいないんだろうけどね。
スマートにどこでもはなせる人になりたいものです。□