大須賀先生

2019/7/27のブログで「しあわせの島」を紹介しました。
いつ読み返しても本当に素晴らしい物語です。
それに加えて、欄外にある語釈や教科書体という独自のフォントを眺めていると、中学校のころが思い出されて、もう一つの思い出深い教科書作品が記憶に蘇ってきました。


「一切れのパン」という作品です。


中学校時代の国語の恩師・大須賀先生は、授業時間が足りなくなったか何かで、授業で取り上げることができなかったこの作品を朗読して聞かせてくれたのでした。
先生は物語の結末を朗読しませんでした。
そして僕らに向かって「どういう結末だったかを考えてみてごらん」と、教科書を閉じました。
その後、すぐに種明かしをしてくれましたが、びっくりしたのを記憶しています。
そんな演出も含めて、今なお鮮明に大須賀先生のことを覚えているのです。

先生は、新聞を読みましょう。と常に言っておられました。
そして、新聞から見つけた様々な面白い記事をいつも国語の小テストの問題にしていました。
新聞にはこんな面白い記事があるのだな、と先生のテストをきっかけに新聞に興味を持ち始めた記憶があります。

「穀」という字を使って熟語を作ってください。
という問題を出されたときには、親友が大きな声でこう叫びました。

「屁をこく!」

先生は、ばかもん!と怒鳴った後、「屁をこくと言うのはだな、体内の物を放つという意味で漢字では「放く」と書くのだ。その放くという語源は云々..」と一生懸命力説してくれ、それも踏まえて大爆笑してしまったことも今なお鮮明に覚えています。

世の中のいろいろなことを多感に吸収する大切な時間を、日本の優れた文学で編集された教科書と、素敵な先生に支えられた時代でした。

今こそ教科書に掲載された文学や物語を読み直すときなのかもしれない。
光村図書からは、光村ライブラリーと題したシリーズで今でも教科書の名作を読み直すことができるようです。
「一切れのパン」は明日紹介します。光村ライブラリー1巻にも掲載されています。□

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