今日の一冊

 

「岩田さん」ほぼ日刊糸井新聞編著

 

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井の頭線・渋谷駅の改札を出て、少し進むと30メートル×5.5メートルに及ぶ巨大な壁画が見えてきます。
岡本太郎作「明日の神話」です。
メキシコのホテルに展示される目的で描かれました。
ホテルが閉館となり、長い間作品の所在は不明でしたが、その後奇跡的に発見され、有志により復元され、現在の地に設置されました。
万博記念公園には太陽の塔がありますが、こちらも万博閉幕以来、長い間放置されていた内部が50年を経て、有志によって復元され、最近になり一般公開されました。

すごいなと感じるのは「作家が死んでも、仕事がなお生きている」という点です。

あたかも作家が天国から、地上に残された人々の体を操って、本人がやり残した仕事を発表させているように感じるのです。
それほどの圧倒的な仕事や存在感、カリスマ性といったものを生前に発していたのだろうと思うのです。
フレディ・マーキュリーが最近になって新曲「Time Waits For No One」をリリースしたことや、マイケル・ジャクソンが没後にニューアルバムをリリースしたというような話にも似たような印象を受けます。とにかく、それだけの仕事や存在感を残す人物だったということでしょう。


「岩田さん」という書を読みました。

岩田聡氏は、元任天堂の社長として手腕を振るった方です。
任天堂社長就任までの経緯や、部下との接し方、仕事への哲学等、岩田聡氏の貴重なことばが多数収録されています。
岩田聡氏が亡くなって4年になりますが、残された人々が今、氏の言葉を一冊の本にまとめあげ、出版に至らしめたことに、岡本太郎や、フレディマーキュリーにも匹敵するような大きな魅力や才能を持った方だったのだろうと噛み締めた次第です。

夏休みの一冊に、是非。

仕事とは。カリスマとは。いろいろ学び、考えることができる一冊です。□

 

(注)今回の記事は8/12の記事「死んでも死なない」を対外発表向けに推敲し直したものです。