制作日誌

 

「もっと根性いれんとあかんぞ」


今年の二紀展は大失態だった。
作品がアトリエを出発するときは、気分が高揚していたのだろうか、「おっしゃ、今年は行ける!」と思いこんでいたのだが、結果は天と地。惨憺たるものだった。とても観られたものではなかった。
作品は会場の奥の奥。さらに上に展示されていた。無残である。これが、覆せない今年の作品の評価だった。

それにしてもどうしてあれほどまでの失態となったのだろうか。

先日、アトリエでの仕事を終えた後の酒の席は、反省会となった。

先生から叱責を受けた。もっと根性を入れないといけない。

表現は見返りを伴うものではない。ただやりたいからやるのである。

そしてやるからには、後悔しない仕事をきちんとやりとげなくてはいけない。

会場で作品を見上げた時、変化もなく、動きもなく、面白くもなんともなかった。

他の絵の中に埋もれてしまって、雑草のようになっていた。雑草でもないのかもしれない。

かつて大先輩に「お前の絵は雑草でもない。生えてもいない。」と言われたところから、自分は一つも前進していないのかもしれない。

仕事をやりきらなければ、これほどまでに不愉快な気持ちになるのである。

この悔しさを決して忘れず、エネルギーにして次の制作につなげていかなくてはならない。□