★ゼロの感動

 

遅ればせながら10年に1度というくらいの豪雪の晩に、

2023年の新年会があって、

昨年忘年会ができなかったアトリエのメンバーと、

今更ながら、2022年のベスト10を発表しあったのです。

 

忘年会でベスト10の発表をやるようになってから、

もう4~5年たつんだけど、それだけ続けていると、

前の年の自分、さらに前の年の自分....が重なって、

どんどん欲望が増幅されていくように感じるのです。

 

そんな中で、この新年会で初めてベスト10発表をした

メンバーの声にドキッとしたのです。

 

京都国立近代美術館の常設でみた靉光の1枚。

 名前は忘れました....」

 

「昨年亡くなったアトリエの研究生の最後の1枚」

 

確かに自分も感動はしていたと思う。

でもそういう作品を、更に大きな作品や展覧会で

上書きしてしまって、1年を終えるころには、

ほとんどを「次点」に回してしまっていた。

 

確かに誰よりもたくさんは観ていたと思う。

けれど、ゆっくりじっくり味わって、

本当に楽しめたという1枚は、

自分のベスト10にきちんと収められていたのだろうか。

 

素朴で、丁寧で、鋭い美の楽しみ方をしていたメンバーの声に、

ふいに鋭いナイフを突きつけられたような気持になったのでした。

 

自分は今、

去年、あれほどびっくりしたり、感動したけれど、

今年はさらにすごいものを見つけちゃった。という

武勇伝合戦みたいになってはいないか。

 

もっと!もっと!!もっと!!!なんて、

欲望ばかりを増幅させてしまっている自分は

むしろ、もっと!冷静になってみるべきだ。

 

2023年は、改めて、誰にも流されずに、自分のために、

1つ1つ丁寧に見て、ゼロの感動を味わいたい。□