石膏デッサンを再開している。
一応、卒業はしたがかなり前のことだし、以来ほとんどやってこなかったから、リハビリもかねて、あのときできなかったことも含めて、全部棚卸しをしようというつもりで臨んだのだけど。
あれ。あれれ?
こんなに自分は描けなかったか。
描けない。
これはすっかりゴリラーマンではないか。
高校時代に、長距離走が得意だ。と吠えている同級生がいた。
だが、実際に体育の時間に長距離走をしてみると、早いどころか、遅いのだった。
後ろから数えた方がよいのでは........?というほどに。
彼は中学校時代にテニス部で鍛え上げ、連日長距離を走らされ、当時は心身共にとがりまくっていたという。それは本当なのだろう。
だが、高校時代に出会った彼は、とがっているというより、肥満であった。
テニス部を引退して、リバウンドで肥満の奈落に落ちてしまったのである。
だが、記憶の中では「俺は走れる」だったのである。
彼はうそをついていたわけではなかった。確かに中学時代には、誰もがついてこられないほどの筋肉、パワーをもっていたのだろう。だが、長いブランクがすべてを砂の下にうもれさせてしまったのだ....。
そして僕のデッサンは、まさに彼と同じような事態になっている。
しかも。
石膏デッサンって、こんなに疲れるものだったか.....!?
背筋をピンと伸ばし、腕をあげ、木炭を握り、全身を使って、紙の上に石膏像を投影させていく作業は、思った以上に体力を消耗する。
あのときは、若かったし、燃えていたから、疲れたなんて記憶もなかったのだけど....。
卒業したという自惚れだけで、ごまかしながらやってきた自分に、喝を入れなくてはいけない。
展覧会はいろいろ中止になってしまい、作品を作りためておくべき時期かもしれないが、この機会に基礎に戻って、もう一度立てなおしたいと思っている。□