ワンダーJAPAN

 

淡路島の洲本市から東海岸沿いを北上していくと、はるか遠くに巨大な観音像が見えてきた。

  

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はるか遠く。である。

初めて目に入ってからだいぶ走っても、なかなかたどり着かない。

高さ100メートルはあろう。これほどの巨大な観音像はあまり見たことがない。

 

そのとき、ふと脳裏にある記憶がよみがえった。

 

母方の実家は千葉の富津にあった。

小学生のころ毎年夏休みになると、盆に2泊3日で帰省もかねて連れて行ってもらっていた。
東京駅から出発する「特急さざなみ号」に乗り、房総半島を南下していくのだが、恒例の冷凍ミカンを車内で買ってもらってかじっていると、都会を離れて山が見え始めるところで、はるか向こうの山頂に、観音様が見えた。

「あ、観音様だ」

毎年毎年同じ歓声を上げた。

ひとけのない山の中にひょっこりと神々しいお姿が見えるところに、子供ながらに人知を超えた不思議な力のようなものを感じ、漠然としたあこがれを抱いていた。

「今度行こうね」

毎年父や母がそう答えるものの結局、観音様に訪れることは一度もなかった。

以来、車窓から山の上に見える観音様への不思議な神々しい様だけが思い出となって、今も鮮明に焼き付いている。

今、ネットで調べてみたらすぐに出てきた。

 

www.t-kannon.jp

 

東京湾観音というのか。今になって初めて知った。

高さ56メートル。

ホームページを見ると平成最後の大改修を終え、今なお東京湾を見下ろすようにして我々を見守ってくれているようだ。大人になった今、未回収の思い出を今回収すべきときなのかもしれない。

 

 

対して淡路島の観音様である。

こちらは「世界平和大観音」というようだが、だいぶ東京湾観音とは様子が違うようだ。

いろいろ調べてみると、2006年にオーナーが亡くなり、そのまま放置されていたが劣化も激しく、近隣の住民からは取り壊すような要求がずっとあがっていたようで、奇しくも今年になり、取り壊しが決まったとのことだ。

近くを通ったときは、落書きなどもあり、もう当時の威厳のようなものはすっかりなくなってしまっていたようだった。

 

こちらに訪れた人のレポートがある。

 

世界平和大観音

 

これを見ると、土台となっている建物には、オーナーの車やら美術やらのコレクションが並んだり、温泉があったりと、かなりいろいろ個人的な思いの積もったトンデモな建造物のようである。

宗教的なものは、社会的なお墨付きがあり、祈りの象徴として正しく残っていくものと、経済力や意欲の高い個人が勢いで残した「トンデモ」なものの二2つに分かれがちである。

世界平和観音については後者であるようだ。

探偵ナイトスクープで、桂小枝探偵がよく訪れていた「秘宝館」のようなものであろうか。

ワンダーJAPAN好きの自分にとっては、これも一つの美術であると思うし、廃墟となってしまった今も、また諸行無常の気持ちも感じ、なにか切ないものが心に残る。

 

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以下に挙げる動画を見ても、トンデモ的なものがそげおとされ、心に沁みわたるものがあるのである。

 

www.youtube.com